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数学の問題を「代数」と「幾何」の観点で解いてみる

数学の美しさとは、「ただ唯一の解を導く方法が無数にある」ところだと思います。
そんな僕の思いを体現した問題がこちらです。

問題
a²+b²=1,c²+d²=1,ac+bd=1のとき、ad-bc,a²+d²,b²+c²の値を求めよ。

この問題は、「代数的な解法」と「幾何的な解法」の両方で美しく解くことができます。

まずは、オーソドックスな「代数的な解法」を紹介しようと思います。

a²+b²=1、c²+d²=1 の辺々をかけると、
(a²+b²)(c²+d²)=1²
(ac)² + (ad)² + (bc)² + (bd)² = 1・・・・・・①

ac+bd=1 の両辺を二乗すると、
(ac)² + 2abcd + (bd)² = 1・・・・・・②

①から②の両辺を引くと
(ad)² - 2abcd + (bc)² = 0
因数分解して、
(ad-bc)² = 0
∴ad-bc=0

ad-bcよりad=bc
両辺を2乗して
a²d²=b²c²・・・・・・③

a²+b²=1から、
b²=1-a²・・・・・・④

c²+d²=1から、
c²=1-d²⑤

③に④,⑤を代入すると、
a²d²=(1-a²)(1-d²)
a²d²=1-a²-d²+a²d²
∴a²+d²=1

a²+b²=1,c²+d²=1よりa²+b²+c²+d²=2
∴b²+c²=1

少しややこしいですが、式を正しく変形できれば求めれます。
しかし、ややこしい数式が嫌いな「幾何学オタク」はどのような解法を見せてくれるのでしょうか。

a²+b²=1,c²+d²=1,ac+bd=1のとき、ad-bc,a²+d²,b²+c²の値を求める。
a²+b²=1は以下のような直角三角形の各辺と見れる。


aとbの間の角が90°なので、1の辺を直径とする円周上にすべての点がある。

c²+d²=1も同様に捉え、先程の図形に合わせ、不明の対角線の長さをXにすると、下図のようになる。

トレミーの法則より、
a×c+b×d=1×X
∴X=1

トレミーの法則の解説
円に内接する四角形において、向かい合う辺の長さをそれぞれかけた積の和が対角線の長さの積になるという定理。
証明は省略。

なので、この四角形は長方形であるとわかる。
長方形なので、a=c,b=d
∴ad-bc=0

直角三角形の斜辺なので、
a²+d²=X=1
b²+c²=X=1

凄いですね。
この解法を聞いたときは圧巻しました。
トレミーの法則を知っていて、柔軟な発想ができれば、代数的な解法よりも楽(少なくともややこしい計算は無い)に解くことができるのかもしれません。

ということで、今回は1つの問題を代数的な観点と幾何的な観点で考えてみました。
他にも、ベクトルの利用など、様々な解法が考えられます。
時間がある場合は別解を考えてみるというのも非常に勉強になると思います。
皆さんも、問題にぶつかったときに、様々な観点から考えてみると、良いアイデアが思いつくかもしれませんよ。