前回に引き続き、花火について書いてみようと思います。
花火を化学的に考えると、「炎色反応」が浮かんだので、それについて書いていきます。
炎色反応といえば、「リアカーなきK村動力借りるとうするもくれない馬力で行こう!」と覚えた人も多いと思います。
炎色反応を習うのは高校なのですが、きれいなので知っています。
それぞれ、以下のような意味です。
リアカー Li(赤)
なき Na(黄)
K村 K(紫)
動力 Cu(緑)
借りるとう Ca(橙)
するもくれない Sr(紅)
馬力 Ba(黄緑)
花火は、「星」とよばれる部分にこれら(これら以外も)の金属が含まれているためカラフルになっています。
それでは、炎色反応ってなんでおきるのだろうということを書いていきます。
炎色反応は三段階に分けることができます。
それぞれ、順に説明していきます。
①熱エネルギーによって金属の原子が原子化される
結合やイオンの状態からバラバラになる
②熱エネルギーによって原子が励起される
励起とは不安定な状態のこと
③光を放出しながら基底状態に戻る
基底状態とは安定している状態
③で放出される光が元素特有の波長なので「何元素は何色」ということができるわけです。
それでは、塩化ナトリウムを例にとって考えてみます。
通常、ナトリウムイオン「Na⁺」と塩化物イオン「Cl⁻」となっています。
そして①がおき、ナトリウムイオンは原子化され、ナトリウム原子「Na」となります。
中学ではK核L核といった電子核と習いますが、もう少し複雑な電子軌道を考えます。
上の図が電子軌道の模式図です。
1s、2s、2pとエネルギーの低い順に電子が入っていきます。
ナトリウムの電子は11個なので、1つ3s軌道にいます。
そして、②がおき、3s軌道にいる原子が3p軌道に励起します。
しかし、一瞬で③となり、基底状態に戻ります。
その時に差分のエネルギーが光という形で発生します。
そのエネルギーに応じて決まった波長の光が放出されます。
ナトリウムの場合、この波長が589nmで、人間の目には黄色に見えているというわけです。
ちなみに、炎色反応を示さない金属もあります。
これは、電子を励起させるのに非常に高いエネルギーが必要な場合や、光は放出されているけど可視光ではないから人には観察できない場合などがあるからです。