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空気はなぜ層にならないのか

毎日、空気に感謝している里得木です。

前回の記事で、水と油は比重が違うから分離する的なことを書きました。
ただ、空気中に含まれる窒素や酸素は比重が異なりますが、分離していません。
そのことを考察していきたいと思います。

gakumonn-sugoi.hatenablog.jp

いくつか、前提となる知識を確認しましょう。

空気は、いくつかの元素から構成された混合物です。主な成分とその特徴について説明します。

窒素 (N₂)

体積比:約78.084%
密度:1.250kg/m³(0℃・1気圧の場合)
特徴: 空気中で最も多い成分で、他の物質と反応しにくい安定した気体です。生物の体内での重要な役割を果たしていますが、直接的な呼吸には関与していません。

酸素 (O₂)

体積比:約20.9476%
密度:1.429kg/m³(0℃・1気圧の場合)
特徴:生物が呼吸するために必要な気体で、物質を燃やすのを助ける役割があります。空気中の酸素は、生命活動に不可欠です。

アルゴン (Ar)

体積比:約0.93%
密度:1.784kg/m³(0℃・1気圧の場合)
特徴:貴ガスの一つで、他の物質と反応しにくい性質を持っています。空気中で3番目に多い成分です。

二酸化炭素 (CO₂)

体積比:約0.041%
密度:1.977kg/m³(0℃・1気圧の場合)
特徴:呼吸や光合成などの生物の活動によって濃度が変動します。温室効果ガスとして知られ、地球の温暖化に影響を与える可能性があります。

その他の成分

体積比:微量
特徴:ネオン、ヘリウム、クリプトン、キセノン、水素、メタンなどが含まれていますが、それぞれの割合は非常に小さいです。

ちなみに、空気全体の密度は1.293kg/m³とされています(水蒸気などは考慮していない)。

 

それでは、空気が分離せずに混ざっている主な理由を3つ説明します。

①空気のかくはん

空気は常に動いていて、上下にかくはんされます。
これは、空気が風や温度の変化などによって混ざり合うためです。
重い分子と軽い分子が重力によって分離する効果よりも、空気がかくはんされる効果の方が大きいので、空気は層になりません。

②温度と圧力の影響

空気は温度や圧力の変化によって密度が変わります。
例えば、地表近くは太陽の熱で暖められるため、空気が膨張して軽くなります。
これにより、上昇気流が発生し、空気が混ざり合うことになります。
また、高山などの高い場所では、気圧が低くなるため、空気が薄くなります。
これらの現象も、空気が層にならない理由の一つです。

③地球の自転

地球は自転しているため、空気もそれに伴って動きます。
この動きが、空気が層になるのを防ぐ役割を果たしています。
地球の自転による風や気流は、空気を均一に混ぜ合わせるのに役立っています。

 

空気がかくはんするということは、単に分離しないということだけではなく、有害な気体などが一か所に溜まらないということでもあります。
鉱山のように無風の場所では、ガスがかくはんしないため、窒息につながる事故が起きることもあります。
宇宙ステーションでも、寝ているときに二酸化炭素が溜まらないように、すごい設備で換気をしているという話を聞いたこともあります。

空気に感謝しながら生きようと思った里得木でした。